品質管理を問われたら?
ボクは、この言葉が好きではありません。
カッコつけている、気取っている、まじめぶっている・・・印象があります。
かと言って「QC」という言葉もしっくりきません。
「QC」は、Quality Control の頭文字であることは、皆さんご存じの通りです。
つまり「QC」は「品質管理」であるわけで、「品質管理」を英語で表現しただけ。
「だから何だ?」という話なのですが、どうもしっくりこない理由がボクにはあります。
それは「品質管理」の語彙を、あらゆるヒトが納得できる「一言」で表現できないからです。
「品質管理」を説明してください。とあなたが問われたら、何と答えますか?
ボクは「品質管理検定(QC検定)1級」の合格者であって、「日本品質管理学会」の会員でもあります。
そして、仕事は「品質管理」です。
ですから、長い時間、品質管理に携わっています。
ですが、どうも「一言」で現わせる最適な言葉が見つからないのです。
JISで定義されていた語彙があります。
ISO9001で定義されている語彙もあります。
ウィキペディアにも載っています。
Googleで検索すれば、すぐ出てきます。
一例として、下記を抜粋します。
品質管理 Quality Control
品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部(Q9000)
買手の要求に合った品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体系。品質管理を略してQCということがある。また、近代的な品質管理は、統計的な手段を採用しているので、特に統計的品質管理(statistical quality control、略してSQC)ということがある。
品質管理を効果的に発揮するためには、市場の調査、研究・開発、製品の企画、設計、生産準備、購買・外注、製造、検査、販売及びアフターサービス並びに財務、人事、教育など企業活動の全段階にわたり、経営者を始め管理者、監督者、作業者など企業の全員の参加と協力が必要である。このようにして実施される品質管理を全社的品質管理(company-wide quality control、略してCWQC)又は総合的品質管理(total quality control、略してTQC)という(旧Z8101)
ークォリティマネジメント用語辞典(2004年発行 吉澤正 日本規格協会)より引用
このような長い文章で、言葉の羅列です。
そういう言葉を、数珠つなぎに並べていけば、こんなボクでも説明はできそうです。
でもそうじゃないのです。
ボクが求めているものは、誰でも納得できる「一言」なのです。
品質管理を「一言」で言いたい
なぜ、「一言」表現できないかと言いますと、「一言」で言えないぐらい「品質管理の範囲が広い」からです。
「品質管理」のおおまかな仕事は、
- 「もの=品」が「よい=質」ものを作る、そのものの行為
- ものづくりをする環境を整える行為
- 人の能力を発揮させる仕組み
- 組織の適切な運用・管理
などです。
1.で「もの=品」と言いましたが、「もの」だけのことではありません。
「こと(サービスや行動、考え方など)」も「品」に含まれます。
次に「よい=質」についてですが、「よい」とは一体なんでしょうか?
「よい」には「よい対象」によってアプローチの仕方が変わります。
「お客さんにとってよい」
「企業にとってよい」
「自分にとってよい」
「環境にとってよい」
それぞれにとって「よい」と感じることは異なりそうですね。
では、それぞれにとって何が「よい」のでしょうか?
「よい」の範囲も変わりますね。
「使い勝手がよい」
「価格がよい」
「納期が早い」
考え出せば、キリがありません。
今挙げた品質に関する範囲だけでも2×4×3=24パターン出てきましたね。
次に学問で言えば、
・組織の運営のための経営学
・品質コストが組織経営に与える
影響を算出するための経済学
・作業者にルールやモラルを守らせる
仕組みを考えるための心理学
・技術的な課題を解決するための数学
・品質管理手法として種々使用する
統計学
・自己と他人、社会とのつながりを
冷静に把握するための哲学
などが考えられます。
これだけの分野を網羅して理解することは、かなり難しいし、勉強しても勉強してもキリがないのです。
(まぁ、これは学問全般に言えることですし、この知れば知るほど知らないことが増えていく感覚が楽しいのが学びですので、決してデメリットではないですが)
「クォリティーコントローラー」になる!
このように、仕事としても学問としても広範囲にまたがるのが品質管理です。
なかなか一朝一夕にはいかないものです。
「品質管理のプロになって見せる」と決意をして十数年。
その間、品質管理検定(QC検定)1級に合格もできましたし、日本品質管理学会に所属しました。
そして、日々の業務で「品質管理」を修行し自己研鑽しています。
その中で、ボクが体得したことや知識を、少しでも発信できればと思っておりました。
修行が足りていないことは自覚していますが、今日(2023年2月11日)の「ブログ開始日」を、初心に戻る日として、改めて「品質管理、はじめます。」としてスタートします。
まだまだ、先は長いですが、「品質管理」を「一言」で表現することを目標に努力していこうと思います。
「一言」で表現できた暁に、ボクは「クォリティーコントローラー」になった、と宣言したいと思います。
今後とも、よろしくお願いします。
オススメ書籍
リンク
日本の品質管理の父「石川馨」の書籍です。
古い本ではありますが、ここから、品質管理が始まったのだと、歴史を振り返るには最適です。
名言「品質管理は教育に始まり、教育に終わる」が有名です。