最終更新日:2023年8月15日
どうも、おばんです。QCたかです。
ボクたち消費者は、サービスを受けるにあたり、気に入らないことがあったら好き勝手に発言してもよいものでしょうか。
「これ、おいしくないなぁ。お金返してくれない?」
「キミじゃ話にならないよ、責任者呼んで!」
また、オンラインで購入した商品のレビューに、
「電話の対応、最低。このサイトではもう買わない!」
「商品が全然届かないんだけど。twitterに悪口書くから、拡散希望!」
今日は、こんな話です。
よかったら、最後まで見て行ってください。
お客様は神様
品質管理において「お客様は神様」という言葉があります。
お客様を大切にしましょう、という日本独自の考え方です。
もちろん世界にも似たような言葉はあります。
「顧客至上主義」「顧客中心主義」「顧客第一主義」・・・
言葉はちょっとずつ違えど、「お客様を大切に」というハートは世界共通で、日本人が、独自に編み出した言葉は、
「お客様は神様」
です。
これは、日本独自の「おもてなし文化」と「精霊信仰」により派生した言葉でしょう。
「おもてなし文化」は、東京オリンピック・パラリンピック2020で、世界中から着目されましたね。
相手を思いやる行動、相手の気持ちを読み解く心づかい。
日本人が大切に育ててきた文化なのだと思います。
そして「精霊信仰」です。
日本において、神様は身近な存在です。
家には、神棚がある家が多いと思います。
つまり、みなさんの家にはそれぞれ神様が宿っている。
そして、その神様は、他にも山や海、川とか石、火にも木にも・・・あらゆるものに宿っています。
どこに行ったって、神様がいるわけですね。
そして、スーパープレーをしたスポーツ選手も神になりますし、なんなら、道端のゴミを拾ったボクも神と言われるかもしれません。
これぐらい、神様が身近にいる文化なのですね、日本は。
とは言え、身近でありつつも、お水を上げたり、お酒を上げたり、お賽銭を投げたりと、神様を大切にしてきています。
その心が、日本の「精霊信仰」ですね。
神様は身近にいる存在だけど、大切な存在であるわけです。
大切だからこそ、身銭を切っても、痛くもない。
努力を惜しまず、ご奉公できるわけです。
さて、ビジネスにおいて、身近にいる大切な存在とは何でしょうか。
それは「お客様」ですよね。
「お客様」から喜んでもらえなければ、事業として成長できません。
「お客様」を喜んでもらえるよう、創意、工夫することがビジネスの基本なわけですね。
ですから、「大切な存在=神」であり「大切な存在=お客様」。
つまり「神=お客様」
「お客様は神様」、お・も・て・な・しー の完成です。
「ホスピタリティ」と「おもてなし」の違い
「ホスピタリティ」という言葉があります。
ホテルで働く方々などが、荷物を部屋まで運んでくれたり、おいしいゴハンが食べられる場所を教えてくれたり、困っていることを解決してくれたり。
このサービスを「ホスピタリティ」と呼んでいて、相手を思いやる心を、「ホスピタリティマインド」と呼ばれています。
なーんだ、「おもてなし」と一緒じゃん。
と思うと思います。
ボクもそう思います。
ただ、決定的に違うものがあります。
それは「神様」が存在しないことです。
「ホスピタリティ」は、海外から発生した言葉。中世のヨーロッパで生まれた言葉です。
注目したいことは、中世のヨーロッパの宗教と言えば、キリスト教などの宗教圏であることです。
キリスト教などの宗教の特徴は何でしょうか。
神様が1つしかいない唯一存在であること、つまり「一神教」の文化であることです。
そして、神様は絶対的な存在で、人間はその服従者であることです。
日本のように、神様はいっぱい身近にいて、友達感覚のようなとらえ方はしていないのです。
ですから「お客様は神様」という考え方は存在せず、むしろ神様に対し「お客様=神様」と扱うことは、大変な失礼になります。
そういう文化圏ですから「ホスピタリティ」の精神は「おもてなし」と同等であっても、根底の考え方が異なります。
「お客様=お客様」であって、サービスをする側とサービスを受ける側は同じ人間です。
お客様は大切な存在であっても、所詮、人間ですから、同等の存在です。
そのような存在に、身銭を切る必要がありません。
つまり、サービスに対しては、賃金が発生します。
よって「ホスピタリティ」は「有料のサービス」であり、我々は、そのサービス料金をチップとして支払う必要が出てくるわけです。
これが「おもてなし」との決定的な差でしょう。
ちなみに、日本人であるボクには、この「ホスピタリティ」を理解ができません。
ホテルへ支払ったサービス料金には、すべてのサービスが含まれているのであって、部屋へ案内してくれた方へのチップも当然、そこに含まれている。
そもそも、あなたのチップ代は、ホテルから賃金としてもらうべきでしょ?
と思ってしまいますが、この考え方こそが、日本が世界に見放された原因なのでしょう。
ここは、反省しないとダメですね。。。
隷属関係から目を覚ませ!
「ホスピタリティ」では「お客様=お客様」でした。
「おもてなし」では「お客様=神様」でした。
日本人は「おもてなし」を美しい行為としています。
そして、受ける側は「当然」と認識します。
「当然」と認識した結果、そこに特異な関係性が表れます。
それは、サービスする側とされる側に「服従」関係が生まれてくることです。
「服従」の場合、サービスする側に「サービスをしたい」という意識がありますが、サービスをする意思がなくなってしまう「隷属」の関係とも言える状態になることもあります。
「隷属」はご主人様と奴隷の関係性を示しています。
例えば、「少しキズがあるから、新品に変えろ」とか「キミの説明じゃまとまらないから、偉い人呼んできて」とか、サービスする側に寄り添いもせず、一方的に要求だけを言ってくる場合などは、フェアではありません。
このように一方的に、要求だけをしてくる態度、これはまさに、サービスをされる側から「隷属」関係に追い込む状況であります。
こんな関係が日本人が美しいと考える「おもてなし」なのでしょうか?
こういう関係性をボクたち日本人は求めているのでしょうか?
そんなはずはありません。
「お客様が喜ぶ顔がうれしい」
「ありがとう、と言われたい」
「おもてなし」の効果は、こういったものでなければいけない。
サービスをする側もされる側もお互いが「ウェルビーイング(幸福)」の関係になるからこそ、サービスと言えるのです。
こういった相互互恵関係こそが「おもてなし」の本意なのだと思います。
その関係性を作るのは、サービスをする側は当然としても、サービスを受ける側の態度も重要になります。
サービスを受ける側は、神様ではありません。
人間です。
人間なのですから、人間らしい態度と対応をしてもらわなければ、相互互恵の社会性がくずれてる結果になりますね。
仮に、十分なサービスを受けられなかったとしても、サービスをする側へ改善要望を言うことはよいでしょうが、モラルを欠いた、およそ脅しのような要求をしてはいけない。
「相手を思いやり、相手をリスペクトしたうえで、言いたいことを言う」
この姿勢がビジネスにおいては、重要なのです。
品質管理要求は「カネ」に変えろ!
ここまで書いたように、お互いの関係性を大切にした「おもてなし」は日本の文化として大切にしていくべきです。
そして、お互いを思いやり、リスペクトする関係性が大切です。
ただ、ビジネスにおいて「おもてなし」というスタイルでは、不十分です。
ビジネスなのだから、自分がした仕事はカネに変えなければいけない。
つまり、「ホスピタリティ」の姿勢が重要になってきます。
自身がした仕事は、お客様に喜んでもらえる仕事であり、その効果として「自身のウェルビーイング」と「利益」を得ることができる。
例えば、お客様が工場に見学に来られたらどうでしょう?
事前に、お客様が喜んでくれるような、わかりやすい資料を作ったり、お弁当の準備をしたりするでしょう。
いざ来られた際は、笑顔で対応したり、何気ない会話で盛り上げたりと、かなりの気を使うはずですね。
本当を言えば、この段階で「おカネ」をもらってもよいぐらい。
それぐらい、あなたは努力し、自身の時間をお客様のために費やしたのだから。
話を元に戻し、工場見学の途中、お客様が突然、要求をしてきたとします。
「実は、最近この寸法を厳しくするように言われていて、すまんが、明日納入分から厳しくした寸法で入れてくれ」
と、突然言われたとします。
今までの雰囲気も良かったこともあり、気をよくして
「いいですよー」
なんて、気軽に言ってはダメですよ。
この要求こそ「おカネ」をもらわなければ。
正解の回答は、
「いいですよー、あとで見積もり書送っておきますね」
です。
要求は「おカネ」に変えなければいけません。
お客様に「据え置き」なんて言わせておけません。
この「要求をおカネに変える」は、例えば品質管理監査を受けた時も同様です。
よく、監査の最後に、
「指摘はありませんが、改善要望があります。改善結果を、いつまでに報告してください」
なんていう監査員がいますが、それって、要求じゃん?ってことです。
要求である以上、「おカネに変わる」ということを、監査員は意識して発言するべきです。
「おもてなし」じゃないのです。「ホスピタリティ」なのです。
この「おカネに変わる」ということは、とても重要なことです。
基本的に、大企業の方が、「おカネ」がいっぱいあって「力」も強いです。
中小企業、零細企業にとっては、雲の上の存在なのです。
そんな、大企業が、中小零細企業に「タダ」で要求をするな、ということです。
資本主義において、大企業は搾取する側なのですから、搾取した分、下界にいる中小零細企業に還元しなさい、ということです。
なにも、中小零細企業に勤めているボクたちから、大企業への文句ではありません。
あくまでもSDGsの話です。
大企業は、2030年のゴールを目指すために「10.人や国の不平等をなくそう」に努力していくべきです。
自分たちが欲しい製品やサービスを得るために、中小零細企業に何かしらを要求するのであれば、その要求に対し、正当な「おカネ」を支払い、自分たちが得た利益を、中小企業に還元し、不平等をなくすことに努力してほしい。
この考え方や「おカネ」の流れがうまくいかないから、世界の貧困層や都市部と地域との賃金格差が生まれてくるのだと、ボクは思います。
同一労働には、同一の賃金を。
そして、地方にも、質の高い教育と単純労働ではない仕事を。
これが、夢物語ではなく、現実となるように、QCたかは発信を続けますし、読んでくださった皆さんの力になれば、最高の「ウェルビーイング」になります。
いかがだったでしょうか。
今回は、品質管理っぽくなかったですが、お客様と一緒に品質改善を行う場合は、お互いがお互いの立場を理解し、よりよい関係性を築くことができたらよいですね。
その際に、このブログを思い出して頂けたら、幸いです。
オススメ書籍
まだ読んでいないのですが、どうでしょうか?
ブログ書いたあとに、この書籍を見つけたので、読んだら内容がガラッと変わるかもしれませんね。
皆さんも読んでみて、よかったら感想を教えてください。
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