どうも、おばんです。 QCたかです。
QC7つ道具を知っていますか?
ヒトは「7」という数字が好きですね。
品質管理手法でも、QC7つ道具として「7」を使用していますが、「7」にこだわっていて、大事なことを見落としていませんか?
今回はこんな話です。
最後まで見て行ってください。
QC7つ道具とは
ものづくりでは、いろいろな問題が発生します。
その問題解決方法は、その目的に応じた手法を効果的に選択していくことが大切です。
その目的に応じた手法として「QC7つ道具」が準備されています。
- パレート図
- 特性要因図
- ヒストグラム
- グラフ
- 管理図
- チェックシート
- 散布図
- 層別
「ちょっと!8つあるんだけど!?」
そうなんです。8つあるんです。
「7つにこだわらないから、うまくやってくれ」
が、公式見解です。
だったら「QC7つ道具」という言葉に意味はない訳で、再編成しても、名前を変えても全然OKと解釈をしました。
ということで、QCたか的に再編成を試みます。
QC七つ道具 seven tools for quality control , QC seven tools
「事実に基づく管理」を具現化する基礎的手法のことで、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ/管理図、チェックシート、散布図、層別のことをいう。
(中略)
当初、七つ道具はパレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ、チェックシート、散布図、管理図のことをさしていたが、最近は(中略)管理図と層別を入れ替えて七つ道具としたり、管理図とグラフを一つにまとめて七つ道具としたりしている。しかし、こういった話は本質論ではないので、あまり気にする必要はない。
ークォリティマネジメント用語辞典(2004年 吉澤正 日本規格協会)より引用
QC7つ道具を、それぞれカテゴリ分けしてみました。
表の列にカテゴリとフェーズを示しました。
カテゴリは、QC7つ道具が「何の目的を持っているか」を示しています。
そして、フェーズ1~4まで、対応する箇所に「〇」を付けました。
例えば、「No.8 管理図は、トレンド確認ツールという分類で、フェーズ4の監視で使用する」となります。
雰囲気が少し異なる「No.2 層別」をどう扱うかが難しいですね。
また、No.3~6までは「フェーズ2 現状把握」に集中しています。
ですが、カテゴリは同じグラフでも「集計型」と「統計型」に分かれそうです。
それぞれを見ていきましょう。
チェックシート[カテゴリ:マトリクス]【フェーズ1計画】
チェックシートは、縦、横に必要な項目を記載したマトリクス形式のシートになります。
上表のように、高校生(中学生でもよいですが)の身長と体重の記録を記録した表です。行に「個人のデータ」、列に「個人を特定するカテゴリとその結果」を記載しました。
チェックシートに大切なことは、
- 何が目的か
- 何の結果が欲しいのか
- 結果に影響を与えそうな分類分けをしているか
- 全て「数値」で表しているか
そのために、必要な情報は事前に把握しておく必要があります。
データを取り始めてから「あっ、あのデータがやっぱり必要だった!」となったら、また最初からデータを取り直さなければ、ならないケースがよくあります。
ですから、自分が思い描いている未来を事前に予測し、そのために何が必要なのか、しっかりと事前に計画しておくことが大切です。
チェックシートのテクニックは、関連記事がありますので、参考にしてください。
層別[カテゴリ:考え方]【フェーズ1計画~フェーズ2現状把握】
簡単に言えば「ゴチャゴチャになったものを分ける」ということです。
例えば、青い容器にオレンジ、緑、黄色のハートが入っていたとします。
このままでは、何が何個入っているのが分かりにくいですよね。
ですから、色別に分けてあげると、何色が何個入っているのか、よくわかります。
これだけのことなのですが、これが意外と重要です。
例えば、容器内のハートの重さを測るとして、ゴチャゴチャに混ざった状態で重さを測ってもよいでしょうか?
黄色のハートは、もしかしたら、緑のハートの重さの半分しかないかもしれません。
個性が違うものを、ゴチャゴチャに混ぜてしまうと、その個性が見えなくなってしまいますね。
黄色のハートには黄色のハートの、緑のハートには緑のハートの個性があるはずです。
その個性を見えるようにしてあげなければいけません。
先ほどの「チェックシート」において「結果に影響を与えそうな分類分けをしているか」と書きました。
これは、まさに個性を見えるようにしてあげる「層別」という作業です。
計画の段階で「これは必要かもしれない」と思うことは、しっかりと分類分け(層別)して、チェックシートに載せましょう。
そして、次のフェーズであるグラフ化でも「個性がデータに埋もれてしまい、個性があるのかないのか、よくわからない」となったら、データを層別することで、個性を浮き彫りにすることができます。
データはチェックシートで既に取っているわけですから、簡単に操作できますね。
(ここでデータの層別ができないと悲惨なことになります)
ですから、層別とグラフ化は、常に行ったり来たりを繰り返す作業だと思って構いません。
層別のフェーズを1~2とした理由はここにあります。
そして、カテゴリを「考え方」としたのは「層別というツールはない」からです。
ツールと言うと、何か形があったり、見せ方が決まったりしそうですが、層別にはそういうものがないのです。
データを収集するうえで事前に検討したり、データを分析しながら判断したりとする「整理術」であって、ツールではない。
よって、「層別」は、QC7つ道具から切り離すことがベストです。
層別のテクニックは、関連記事がありますので、参考にしてください。
グラフ[カテゴリ:集計型のグラフ]【フェーズ2現状把握】
グラフにはいろいろ種類があります。
折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、レーダーチャート・・・
使用するグラフは、せいぜい3種か4種であり、追加するとしても、折れ線グラフと棒グラフの複合グラフといったところではないでしょうか。
数値の変化を捉えるのに適しています。
値の積み上げ量を捉えるのに適しています。
全体の割合を捉えるのに適しています。
複数の項目の変化を捉えるのに適しています。
これらのグラフをスムーズに作るには、最適なチェックシートが必要です。
ですから、チェックシートを作る段階で、どのようなグラフで表現したいのか、整理しておくと、スムーズに進みます。
グラフは、資料を見やすくするものです。
チェックシートのままでは、データの羅列だけでわかりにくいですね。
グラフは、他人にデータをわかりやすく示し、納得してもらう資料です。
うまく使いこなして、自分のイメージを正確に伝えましょう。
グラフはExcelで簡単に作れます。
そのテクニックについて、関連記事がありますので、参考にしてください。
パレート図[カテゴリ:集計型グラフ]【フェーズ2現状把握】
パレート図は、棒グラフと折れ線グラフの複合グラフです。
ですが、ただの複合ではありません。
まず、棒グラフですが、カウント数の「多い順番から左から」並べます。
そして、その100分率(累積%)を折れ線グラフで表示します。
このように、「全体の件数で、数票の多い順」に並べることで、何が一番多いのかが一目でわかります。
そして、票数が全体のうち、何%を示しているかも、一目でわかります。
例えば、票数の一番多いトマトであれば、票数30、累積率30%です。つまり、全体の票数の3割がトマトを占めたことになります。
次に、キャベツですが、票数は10ちょっとです。トマト、きゅうり、キャベツの上位3つで、7割近い票数を占めたことになります。
このように、全体の何割を何の項目が占めているかをこのパレート図で把握することができます。
品質管理では「重点指向」という考え方があります。
今回は、野菜の総選挙としましたが、これが不適合数だった場合、問題のある不適合から重点的に対策をしていくことが大切です。
パレート図=重点指向と考えてよいでしょう。
グラフはExcelで簡単に作れますが「正確」に作ろうと思うとちょっとテクニックが必要です。
そのテクニックについては、関連記事を参考にしてください。
ヒストグラム[カテゴリ:統計型グラフ]【フェーズ2現状把握】
ヒストグラムは、一見、棒グラフですが、データのちらばりを現した図になります。
ですから、似ていますが棒グラフではありません。
例えば身長などの計量値(連続的なデータ)は、ばらつきを持っています。
A田B子さんは142cm、C山D太さんは183cmなど、ばらばらです。
今は2名の身長データですが、もっと多くのヒトの身長データを集めてくれば、色々なデータが集まってきます。
もちろん、同じ身長データもいっぱい集まってくるでしょう。
これらのデータの集まりを「分布」と呼んでいて、分布のちらばり(ばらつき)を図で表したものがヒストグラムです。
上に示したヒストグラムでは、横軸の「データ区間」を、5cmで統一しています。
例えば、150と記載してある区間は「150cm以上155cm未満に含まれるデータの数(頻度)が5、つまり、その範囲に含まれる身長のヒトは5人、と読みます。
175の区分を見ると、頻度が一番高く、左右に減っていきます。
これを「1山分布」と呼んでいます。
分布の形によって、そのデータが正しく採取できているか、安定的なのかを判断することができます。
詳細は、関連記事で説明します。
このヒストグラムは、品質管理手法と統計学を繋ぐ重要なものです。
正しく理解し、使いこなせるようにしましょう。
散布図[カテゴリ:統計型グラフ]【フェーズ2現状把握】
散布図は2水準の計量値をX軸とY軸にそれぞれ割り当て「点」で表示するものです。
「点」のデータを多数表示することで、データの関連性を確認することができます。
X軸に身長、Y軸に体重を割り当て、それぞれ点を打ちました。
点は100個、つまり、身長、体重データを100個集めて打点したことになります。
どうでしょうか。ばらばらだったデータですが、データが集まってくると、何やら規則性がありそうです。
身長が増えると、体重が増える、右肩上がりの傾向がありそうです。
これが、散布図の特徴です。
2つのデータの関連性がないか確認することができます。
これは統計学でいう「相関」という概念になります。
右肩上がりの傾向であれば「正の相関がある」と表現され、その「相関の程度、収まり具合」も0~1の間の数字で示すことができます。
この数字を「相関係数」と呼びますが、これもExcelから簡単に求めることができます。
詳しく知りたいヒトは、関連記事を読んで下さいね。
特性要因図[カテゴリ:言語化ツール]【フェーズ3原因究明】
QC7つ道具の中で異彩を放つ特性要因図です。
事象の見える化という面では同じですが、グラフやヒストグラムのように数字を表現するものではなく、言葉の集団を層別して整理してあげよう、というものです。
特性要因図は、フィッシュボーンチャート呼びます。
問題の事象を頭にして、大骨を1本引く、そこに不適合を層別するための基本要因である「ヒト」「機械(この場合は道具)」「方法」「材料(この場合は魚」の4要因を中骨で大骨につなぐ。
そして、その中骨に考えられる要因を考え、小骨でつなぐ。
このような図示が、まるで「魚の骨」に見えることから、フィッシュボーンというわけです。
ひとつの問題の事象に対して、色々な要因が複雑に絡み合って発生しています。
その色々な要因ひとつひとつほどいて、真の要因を探すツールです。
こちらも、詳しくは参考記事を確認してください。
管理図[カテゴリ:トレンド確認ツール]【フェーズ4監視】
管理図は、折れ線グラフで表します。
製造工程では、ある一定の同じ条件で製作したかたまりを「ロット」と表現します。
「ロット」には「ロット内のばらつき」と「ロット間のばらつき」が存在します。
そのばらつきの変化を、ある一定のルールに基づき監視していく手法になります。
X軸はロットの番号です。
Y軸は計量値です。
青の折れ線は、ロットの平均値を打点し、ロットごとに線で繋いでいます。
真ん中のオレンジ色の線は、ロットの平均値の平均値になります。
上下の灰色の線は、平均値±3×標準偏差になります。
統計上、灰色の線を越える確率は0.3%しかありません。
つまり、灰色の線の間にプロットが推移していれば、工程は安定している、と言えます。
厳密には、もっと細かいルールがありますが、平均値±3×標準偏差という考え方は、統計的品質管理ではよく使う考え方です。
ぜひ、管理図と合わせて覚えておきましょう。
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新編成「4C」を提案
QC7つ道具を説明しました。
8個あるうち、5個がデータにまつわるツールでした。
(グラフ、パレート図、ヒストグラム、散布図、管理図)
そして、そのデータを作るために必要なツールとして、チェックシートがありました。
また、層別というものがあり、これは、チェックシートやグラフ、特性要因図を使用するにあたり、ベースとなるものでした。
特性要因図については、データではなく、言語を基本としたツールとなっていました。
まず、層別についてですが、層別は「道具」ではありません。
あくまでも「考え方」です。
ですから、QC7つ道具に含まれるか否か、いつも議論になるところです。
議論になり、公式にも言い訳をしなければいけない状況なのですから、素直に削除すればよいです。
そんな議論はムダですし、使うヒトに迷いを生みます。
次に、特性要因図ですが、品質管理手法としては、有名なツールではありますが、言語化ツールであることから、グラフやヒストグラムと横並びで存在するものではありません。
言語化ツールに特化した「新QC7つ道具」がありますので、そちらに編入すれば、彼も喜びます。(業界はうれしくないかもしれませんが)
QC7つ道具に、まったく異なる思想の手法が入っているは、ムリを生じます。
そして、グラフ、パレート図、ヒストグラム、散布図、管理図ですが、これらは同じようなグラフではありますが、それぞれ使用用途が異なっています。
グラフとパレート図は、データを集計するためのツール、
ヒストグラムと散布図は、データを統計的に解析するためのツール、
管理図は、工程のトレンドを監視するツールでした。
これらの使用目的をはっきり明示せず、名前だけで判断させることはユーザーファーストではありません。
ですから、
- データ集計型グラフ:グラフ、パレート図
- データ統計型グラフ:ヒストグラム、散布図
- 工程監視型グラフ:管理図
と、再編成して上げると、ユーザーが理解しやすく、かつ使いやすくなります。
何を使えばよいのか迷うムラが回避できます。
以上の観点より、QC7つ道具のムダ、ムリ、ムラを省くと
- チェックシート
- データ集計型グラフ:グラフ、パレート図
- データ統計型グラフ:ヒストグラム、散布図
- 工程監視型グラフ:管理図
に再編成できました。
これらは、4つのチャート(チャートには、図、表、グラフの意味がある)の集まりであることから、チャートの英単語Chartの頭文字「C」を取って、「4C」という名前にしました。
新しい概念などは入れず、再編成だけで、QC7つ道具はスリムに、わかりやすくなりました。
ぜひ、みなさんも使って拡散して頂けたらと思います。
オススメ書籍
リンク
ちょっと古い本ですが、やり方、考え方は参考になります。
QCたかは「Office365」でExcelをやっていますよ。
これぐらいであれば、無料版で十分できてしまいますので、レッツトライです。
マウスとキーボードを動かしていけば、わかってきます。
トレーニングあるのみですね。