最終更新日:2024年2月3日
どうも、おばんです。QCたかです。
品質管理手法に「新QC7つ道具」があります。
「QC7つ道具」もありますが、それの「新しい」手法ではありません。
QC7つ道具とは関係なく、仕事に使える道具を新たに7つ選びパッケージングしたものです。
品質管理検定(QC検定)には必ずと言っていいほど出題されるカテゴリですが、実務での実施事例は少なく、雰囲気が掴めないため、点数が採れないヒトが多いようです。
そのようなヒトのため、攻略方法をまとめました。
最後まで見て行ってくださいね。
目次:
イメージとキーワードで覚える
難しいことは考えず、まずはイメージとキーワードを覚えましょう。
- 親和図法
親和とは、相性が良いこと。
つまり、相性が良い同士を集めていく(グルーピング)ことです。
グルーピングしていくと、上図のようにカテゴライズされてきます。
つながりがあることを、一般的には「関連」と言いますが、同義です。
ただ、連関とした意図は、全体の中のつながりを意識させるためで、さらに同義の「連鎖」をイメージさせるためと考えます。
1つの問題点には、いろいろな原因が鎖のように繋がっているとイメージするとよいでしょう。
参考までに、漢字は違いますが、三国志で「連環の計」というものがあります。
船酔い対策として、敵軍の船同士を「鎖」で結ぶよう裏工作をしたのち、火矢を打って船を燃やします。
船同士は「鎖」で結ばれているため、単船で逃げることができません。
結果、多くの船に延焼してしまいました。
この一連の計略を「連環の計」と呼んでいます。
このように、別にイメージできるものを準備しておくと、さらに良いでしょう。
- 系統図法
系統、これもつながりがあることを意味します。
連関図法との違いは「目的←手段」であることです。
連関図法は「問題←原因」でした。
イメージは、高校野球(サッカーでもいいのですが)のトーナメント表です。
ですので、ただの表です。
リーグ戦の星取表をイメージすればよいでしょう。スタートからゴールまでの手順を示したフローチャートです。
- アローダイアグラム法
アローダイアグラムは、全体の日程計画表です。
各工程が持っている日付を足し合わせ、最長でゴールにたどり着くクリティカル・パスを求めるために使用されます。
上図では、散布図を示しましたが、相関係数でも良いです。
リーグ戦の星取表に勝敗を示す「〇×」だけではなく、「得点」や「得失点」、「勝率」などが入ったものをイメージするとよいです。
フローチャートで覚える
イメージやキーワードを覚えたら、どのようなパターンで使えばよいのか、
フローチャートで示します。
新QC7つ道具は、大きく分けて2パターンです。
- 原因究明型
- ゴール到達型
原因究明型には、3パターンあり、手法は4つ。
- グループにまとめる⇒親和図法
- つながりを整理する⇒連関図法
- 結果の分析⇒言語データ:マトリックス図法、数値データ:マトリックス解析法
次にゴール到達型には、2パターンあり、手法は3つ。
- つながりを整理する⇒系統図法
- 工程を整理する⇒流動的な工程:PDPC法、固定された工程:アローダイアグラム法
一見、まとまりがないように見える新QC7つ道具ですが、整理してみるとそれぞれを活用する場所がはっきり見えてきます。
新QC7つ道具とは
新QC7つ道具の歴史は古く、1977年に発表されたものです。
QC7つ道具が数値データに対応するツールに対し、新QC7つ道具は言語データに特化したツールとなっています。
とはいえ、マトリックスデータ解析法は数値データを扱う手法ですので、一概に、すべてが言語データを扱うもの、とは言えません。
当時は、TQM(Total Quality Management)が盛んに言われており、従来の品質管理(QC)だけでは不足で、品質保証(QM)を品質管理に盛り込む時代の流れとなっていました。
そのため、数値データに対応したQC7つ道具だけでは不足と考えられ、新たに「新QC7つ道具」が開発されたわけです。
なお、新QC7つ道具は略して「N7」と呼ばれています。
「N」は「New」の「N」ですが、正式な英語名は「Seven Management Tools for QC」で「New」は付いていません。
昔、「New Seven Tools for QC」と言っていた名残りが残っている状態です。
この新QC7つ道具ですが、品質管理のプロたちが独自に編み出したツールではありません。
各業界の各ツールで使えそうなものを寄せ集め、使いやすいように再編集しパッケージし直したものです。
つまりは、寄せ集めのツールであまりパンチが効いていない印象です。
上記は余談でしたが、新QC7つ道具を使用するにあたり、重要なことは1点です。
それは「ひとりでやらないこと」です。
言語データに特化しているツールである以上、多くのヒトの意見が必要で、ブレーンストーミングを基本としています。
多くの言語データが必要なのであって、一つひとつの言語データをいちいち議論しているなんてナンセンスですし、時間がいくらあっても足りません。
つまりは、ブレーンストーミングさえうまく運用できれば、新QC7つ道具という枠にこだわる必要もありません。
時には型にハマる必要もありますが、気兼ねなく、気楽にスタートすることをオススメします。
その方が、参加メンバーの力も抜け、突飛や斬新なアイディアが生まれてきます。
親和図法
親和図法は、問題解決型のツールでよくわからない原因に対し、いろいろな言語データを集め、親和性のよい言葉、つまりは似たもの同士を集め、グルーピングしていき、その結果、全体を俯瞰で見れるように図示し、原因を探るツールです。
この親和図法は、川喜田二郎博士が考案した「KJ法」をベースにしています。
本当は「KJ法」のまま、新QC7つ道具としてパッケージしたかったのでしょうが、「KJ法」の商標登録と権利の関係で「KJ法」とは名乗れず、アレンジして「親和図法」としています。
親和図法
未来・将来の問題、未知・未経験の問題など、モヤモヤとしてはっきりしていない問題について、事実、意見、発想を言語データでとらえ、それらの相互の親和性によって結合した図を作ることにより、解決すべき問題の所在、形態を明らかにしていく方法。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
連関図法
連関図法は、原因と結果の複雑に絡まり合ったつながりを紐解き、真の原因を特定するためのツールです。
同じ言語データで「なぜなぜ分析」がありますが、「なぜなぜ分析」とは異なり図示できるため、原因分析の過程が見える化できます。
ですが、連関図法の色々な要素が複雑に絡み合った図を見るより「なぜなぜ分析」で言葉をつないでいった方が見やすい、と言うのがホンネではないでしょうか。
この連関図法は、経済性工学の手法として千住鎮雄博士が考案した「管理指標間の連関分析」の図解の部分のみをピックアップしたものです。
連関図法
原因-結果、目的-手段などが絡み合った問題について、その関係を理論的につないでいくことによって問題を解明する手法。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
系統図法
系統図法は、ゴールを達成するために、実施しなければいけない手段を階層を落としながら展開していく問題解決型のツールです。
いきなりゴールの達成は難しいので「小さなコトからコツコツと積み上げてゴールを目指す」というイメージでよいです。
この小さなコトをあぶり出すためのツールになります。
この系統図法は、価値工学(Value Engineering:VE)の機能系統図を参考にアレンジしたものです。
系統図法 tree diagram
「VEの機能分析に用いる機能系統図の考え方、作り方を応用した手法」で、目的や目標、結果などのゴールを設定し、それに至るための手段や方策となる事柄を系統づけて展開していく手法。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
マトリックス図法
マトリックス図法は、問題の結果から2元素をピックアップし、タテ列、ヨコ列に並べ、それらの影響や関連性を「〇×」のような形で表し、問題解決につなげるツールです。
混沌とした問題に対し、どこに着目をすればよいかを補助してくれます。
2元素には限らず、要素を増やして3次元(立方)や4次元などの多次元にも対応が可能ですが、ヒトの頭が追いつきませんので、2元素で示すことをオススメします。
このマトリックス図法は、マーケティングの分野で活用される新規事業のニーズ(必要、要求)とシーズ(生産者側の技術)を表で表すニーズシーズマトリクスなどを基本としています。
マトリックス図法
「行に属する要素と、列に属する要素により構成された二元表の交点に着目して、①二元的配置の中から問題の所在や問題の形態を捜索したり、②二元的関係の中から問題解決への着想を得たり」する手法。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
PDPC法
PDPC法は、問題点の解決に向けてゴールを設定しますが、「やってみなければわからない」という状況に対し、逐次計画変更ができるようなツールとなっています。
この状況なら、このプロセスを得てゴール、
こっちの状況なら、このプロセスを得てゴール・・・
「やってみなければわからない」事態を事前に想定し計画することは難しいのですが、プロセスの共有化やプロセスの抜け防止には効果的です。
PDPC法を使う使わないは置いておいて、イケイケドンドンで進めがちな状況をいったん冷静に立ち止まり考えなさい、と教えてくれる教師のようなツールです。
このPDPC法は、オペレーションズリサーチ(OR)の専門家である近藤次郎博士が考案したものをアレンジしたものです。
オペレーションズリサーチ(OR)が数学的・統計的なツールに対し、このPDPC法は言語に特化しています。
PDPC法 process decision program chart
計画を実施していく上で、予期せぬトラブルを防止するために、事前に考えられるさまざまな結果を予測し、プロセスの進行をできるだけ望ましい方向に導く手法 。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
アローダイアグラム法
アローダイアグラム法は、計画の推進日数を明確にし、ゴールに到達するまでの最長日数を明確にするツールです。
この最長日数をクリティカル・パスと呼びます。
各種工程にかかる日数が把握できており、ボトルネックとなる工程を監視することで全体の工程が遅れないように管理することができます。
このアローダイアグラム法は、オペレーションズリサーチ(OR)の手法の一つである「PERT (Program Evaluation and Review Technique)」で用いられる「PERT図(アローダイアグラム)」だけをピックアップしたものです。
また、クリティカル・パスはデュポン社により「クリティカルパス法(critical path method, CPM)」として独自に考案されたものです。
生産計画・日程管理に特化したツールであり「これが、品質管理か・・・?」と思うところはあるのですが、TQMの発展に伴いマネジメントも品質管理の仕事になったため、盛り込まれたのでしょう。
アローダイアグラム arrow diagram
プロジェクトを構成している各作業を矢線(arrow)で表し、作業間の先行関係に従って結合し、プロジェクトの開始と完了を表す結合点(node;ノード)を追加したネットワーク図。(Z 8141)
(中略)PERT(prgram evaluation and review technique)をアローダイアグラム法と表記することもある。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
マトリックスデータ解析法
マトリックスデータ解析法は、原因となる各種要因を数値化し、解析することで要約し、特徴的な事象を見つけるツールです。
要約することで「主成分」をピックアップし「主成分」が影響している事項は何か?考察することができます。
この要約と言うプロセスが大切で、要約し主成分を絞り込むことで、マトリックス化でき、その結果、図示化ができます。
このマトリックスデータ解析法は、統計的手法である、多変量解析法のうち「主成分分析」を用いたものです。
図示化し見える化できることから選ばれたようです。
ですが、わざわざ、名前を変える理由があったのかは疑問ですね。
マトリックスデータ解析法 matrix data analysis
マトリックス図に配列された多くの数値データを見通しよく整理する方法。
(中略)主成分分析と呼ばれる多変量解析法の一手法。
ークォリティマネジメント用語辞典 2004年出版 吉澤正 日本規格協会より抜粋
品質管理検定(QC検定)の出題傾向
品質管理検定(QC検定)においては、1級~3級まで漏れなく出題されています。
それぐらい、協会側が力を注いで広めたいツールであることがうかがえます。
裏を返せば、そうでもしないと普及していかないツールとも言えます。
品質管理検定(QC検定)を受ける側としては、狙い撃ちにできる問題であり、点数を稼げる問題です。
しっかり覚えて「満点ゲット!」していきましょう。
級別のレベルは下記となっています。
- 3級
新QC7つ道具の全ツールの定義と使われ方について問われる問題がほとんどです。
この問題で「10点」程度は稼ぐことができるオイシイ問題です。
出題の傾向としては、下記3パターンがほとんどです。
- 図示から各手法の名称を選択する問題
- 説明分から各手法の名称を選択する問題
- 各手法の名称が与えられており、キーワードを選択し穴埋めする問題
下記のようなキーワードを拾ってくれば得点できます。
- 2級
個別の手法に特化した出題になります。
◎となっている「親和図法」「連関図法」「系統図法」「マトリックス図法」のいずれかの詳細を問われるケースが多いです。
- 1級
2級に引き続き、個別の手法に特化した出題になります。
2級で◎となっていた手法以外の「PDPC法」「アローダイアグラム法」「マトリックスデータ解析法」のいずれかの詳細を問われるケースが多いです。
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